入院先の病院から家に帰ってくると、多くの患者さんが「ほっとした」と言われます。

コトコトという料理をつくる音に耳を澄まし、かわいがっているペットに触れるなど、日常生活を送ることができるからです。

慣れ親しんだ日常の生活に戻ると、食欲が回復したり、夜ぐっすり眠れたり、痛みが軽くなることもあります。
そして、何より自然に笑顔がでます。

また、死を迎えるにあたり、命が終わるのではなく、子や孫に引き継がれていくという安心感を持たれる人も多いようです。

このように、家には大きな力があります。

自宅では高度な医療はできませんが、病院と同じような医療が受けられ、痛みやしんどさもある程度は取り除けます。

調子が良いと、近所の散歩だけでなく旅行や野球観戦に行くこともできる在宅医療は、「晩年を自分らしく過ごしたい」という方の希望をかなえられることができるのです。

【取材協力】福山市医師会   副会長／まるやまホームクリニック
医師　丸山 典良  先生